地方経済と中小企業の将来性を考察

長野県安曇野市の有力産業と中小零細企業の現状と将来の発展性を考察(統計から)

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安曇野市は長野県の中心やや北西に位置する、人口約10万人、長野県第6位の市です。
平成17年の平成の大合併に伴い、南安曇郡豊科町・穂高町・堀金村・三郷村・東筑摩郡明科町が合併して現在の安曇野市になりました。
東京から車で3時間程度であることから、首都圏の人に人気の観光スポットで、市内には首都圏から移住してカフェ、蕎麦屋、ギャラリー、農業などを営む人も多くいます。
移住者が多いため、地方都市の中では、成功しているように思いますが、その実態はそれほど豊かではありません。
また、多発する公共事業のため、財政的には非常に苦しくなっています。
この記事では、長野県安曇野市の経済や財政について解説して行きます。

人口

安曇野市の2017年度の統計では実行は98,080人となっています。
平成25年の99,165人から毎年少しずつ減少しており、少子高齢化による人口減少の波の影響で確実に人口現象社会の中にあります。
平成25年の安曇野市の平均年齢は46.96歳から平成29年には48.18歳へと上昇しています。

高齢化率

平成25年の15歳から64歳の生産年齢人口は56,182人、65歳以上の高齢者は27,107人でした。平成25年ですら2.1人の現役世代で1人のお年寄りを支えていたことになります。
これが平成29年になると、生産年齢人口は53.413人まで約3,000人も減少します。
一方65歳以上の高齢者人口は29,389人と2,000人以上増加しています。
約1.8人の若者で1人のお年寄りを支えなければならない事態となっています。

少子化

平成25年の15歳未満の子供の人口は12,897人でした。
しかし、平成29年の15歳未満の子供の人口は11,929人となっています。
たった5年で約1,000人もの子供の数が減っており、高齢化に加えて少子化も安曇野市は非常に深刻です。

移住

安曇野市は移住者がとても多い自治体です。
平成25年から29年の社会増減は、順に39人、▲80人、267人、20人、398人となっています。
5年間合計で、644人もの人が移住してきています。
しかし、自然減が社会増を大きく上回っています。
平成25年から29年までの自然増減は、順に▲359人、▲414人、▲410、▲470人、▲472人となっています。
実に5年間合計で2,125人もの自然減があります。
安曇野市は移住には成功している自治体ですが、自然減には全く追いついていません。
それに加えて、子供の数は5年間で1,000人近く減少していることを鑑みれば少子化対策は急務でしょう。
安曇野市の人口分析によると、2040年の安曇野市の人口は78,025人と予測しています。
現在よりも2万人人口が減少する予測です。
このうち、65歳以上の高齢者数は30,002人、生産年齢人口数は40,173人と予測しています。
実に人口の40%近くが高齢者で、現役世代は1.3人に1人で高齢者を支えて行かなければならないという非常の事態です。
生産年齢人口が1万人以上減少する中で、高齢者数は変わらないのですから、抜本的な少子高齢化対策が急務であることは言うまでもないでしょう。

人口減少社会における安曇野市の施策

国は出生率の目標を出生率を2020年1.6、2030年1.8、2040年2.07としています。
さらに、毎年子育て中の15世帯の移住者受入を行うという目標を掲げています。
目標通りの出生率が達成された場合には、安曇野市の人口は2040年には82,798人となり、何もしない状態よりも4,600人程度人口の現象を抑えられることになります。
まさに、本格的な少子化対策は遅すぎると言っても過言ではないでしょう。
2040年目標と言わずに、目標の早期前倒し計画が必要になります。
安曇野市は上記の予測に基づき、人口の目標を以下のように定めています。
2025年:91,000人
2030年:88,000人
2040年:83,000人

では、この目標達成のための具体的な方法はどのようになっているのでしょうか?

方策1:若者の就労、結婚や子育て世代に対する出産、子育ての希望を実現
人口減少を克服するため、次代を担う若者の就労や結婚を支援する。
また子育て世代が希望どおり出産・子育てをすることができる社会の実現を目指す。

方策2:人口流出の抑制と若者、子育て世代を中心とした移住、定住の促進
社会動態が長期的にプラスで推移する見通しであるが、15歳~24歳の若者の流出が目立つのが安曇野市の特徴。
こうした若者の人口流出を抑制するとともに、安曇野市に住み、豊かな生活を希望する移住・定住者を増やし、その希望をかなえられる社会の実現を目指す。

方策3:少子高齢化と人口減少社会を見据え、いきいきと暮らせる社会の実現
避けられない少子高齢化や人口減少がもたらす地域の変化に対応し、地域を構成する市民がともに支え合い、安全、安心でいきいきと暮らせる社会を実現する。

要するに出産子育て支援、定住者増加、暮らしやすい地域コミュニティの構築を実現するということですが、残念ながら、これらを実現するための具体的な施策は実行されていないのが現実です。
早急に予算措置を含む施策を実行しなければ、人口は20年後には2万人減少してしまうことになるでしょう。

 

経済

安曇野市の労働者数は2010年から減少をはじめ、現在は50,000人弱となっています。
このうち、商業・サービス業の従事する人が全体の約半分を占めています。
しかし、安曇野市内に勤務している訳ではなく、労働者の約4分の1にあたる14,165人が隣市の松本市に勤務しており、安曇野しは松本市のベッドタウンという位置付けとなっています。
では、具体的に業種ごとに細かく観察していきましょう。

商業

安曇野市は商業・サービス業の従事している人が最も多い自治体ですが安曇野市内にある商業施設などに勤務しているわけではありません。
飲食店を含まない、小売の従業員数を事業所数の統計は以下のようになっています。
商業の事業所数は減少の一途をたどっており、平成19年の933件から平成24年には888件、平成26年には717件となっています。
また、従業員数も平成19年の7,341人から平成26年には5,658人と約1,700人減少しています。
しかし、売上規模は拡大し、平成24年の138,701百万円から、平成26年は161,469百万円まで拡大していることから、店舗が集約化されていると言えるでしょう。
売り場面積も縮小傾向にあります。

製造業

製造業の従業員数は増加傾向にあります。
平成19年の従業員数は8,225人でしたが、10,399人まで増加しています。
売上規模も平成24年〜27年まで約3,900億円と横ばいです。
しかし、平成24年には従業員300人以上の事業所数が5であったにのに対し、平成25年から7へ増加しています。
大型の工場が安曇野市に進出してきたことを意味しており、これによって従業員数は拡大したと考えることができます。
一方、事業所数の数は平成19年の237から平成27年には213へと減少しており、大規模の事業所への集約化が進んでいることが分かります。

増加する医療分野

少子高齢化を顕著に表しているのが、医療・介護分野です。
医療・福祉事業の従業員数は平成21年から平成26年にかけて増大しています。
平成21年の従業員数が3,986人に対して平成26年は6,056人と2,000人も増大しており、商業などで減少した雇用を医療・福祉分野で吸収していることが分かります。
事業所数も242から325へと増加しています。

縮小する建設業

安曇野市のような地方都市の建設業は公共事業に依存している部分が大きくなっています。
インフラ整備が進み公共事業が少なくなっていく中で、安曇野市の建設業も縮小しています。
平成21年の事業所数と従業員数は563件と2,644人でしたが、平成26年には481件と2,031人へと大幅に減少しています。

 

農業

安曇野市は米や果樹などの農業な盛んな地域です。
しかし、その数は減少の一途をたどっています。
平成17年の法人・個人を含めた農業経営体数は4,730件でしたが、平成27年には3,214件と1,500件以上減少しています。

稲作

農家数の減少の原因は個人の米農家の減少です。
農業経営体の中でも最も減少が著しいのは法人化していない個人経営体です。
平成17年の4,657件から平成27年には3,128件と1,500件弱減少しています。
高齢化に伴い、家族経営の農家が廃業となっているのです。
耕作面積別に見てもこの減少は顕著です。
面積0.3ha~1.0haの平成17年の経営体数は2,885件でしたが、平成27年には1,960件へと900件以上減少しています。
種目別で見ても稲作が最も多く平成17年には2,841件でしたが、平成27年には1,874件と約1,000件弱減少しています。
ちょうど構造改善された田んぼを1枚から3枚程度耕作している農家が10年間で900件以上も消失しているのです。

耕作面積は増えている

安曇野市は農家の数自体は大幅に減少していますが、その反面、耕作面積は増えているという目だった特徴があります。
平成17年の全体の作付け面積は3,947に対して、平成27年は4,531まで増加しています。
農家の数が大きく減少した稲作でも耕作面積は2,789から2,814まで増加しています。
そのほか、麦、果樹、雑穀、豆、野菜の施設栽培などで軒並み作付け面積は増加しています。
専業農家数も平成17年の758件から平成27年の829件まで増加しています。
一方、兼業農家数は、平成17年の3,875件から平成27年には2,283件まで減少していることから、農業のプロ化が進んでいることが分かります。
確かに、安曇野市内を車で走っても耕作放棄地というものは他の自治体よりも見かけません。
筆者の知り合いでも安曇野市で大規模に法人化した農業を行っているという人も何人かいるくらいですので、安曇野市は農業の集約化ということが成功しており、農業が1つの産業として機能していることが分かります。

高齢化する農業従事者

平成27年の安曇野市の農業従事者は男性2,864人、女性248人となっています。
このうち、70歳以上の男性が2,090人を占めています。
つまり、せっかく集約化した農業に従事する人の約7割の人が70歳以上の高齢者となっているのです。
後継者の育成は安曇野市にとっては急務であると言えるでしょう。

売上は減少傾向

安曇野市の農業は耕作面積こそ増えているものの、売上高は減少傾向にあります。
平成24年の7,597百万円から、平成25年には7,184百万円、平成26年には6,970百万円となっています。
農業従事者3,112人でこの数字を割ると安曇野市の農業従事者は1人あたり約224万円売り上げていることになります。
年金を受給している高齢者であればこれで十分かもしれませんが、現役世代ではこれでは生活できません。
より生産性を高めて現役世代が食べていける農業にしていかなければ後継者の育成は不可能でしょう。

 

財政

増え続ける借金

安曇野市は毎年市債を発行しています。
平成28年の新規起債額(新たに借金をした金額)は約53億円、償還(返済)した額は約45億円です。
累計の起債残高は約440億円になっています。
平成28年の予算額が427億円であることを考えれば、それほど借金の総額が多いというわけではなさそうです。
しかし、お隣の松本市が起債額よりが償還額を下回り借金を減らしていることを考えれば、起債額と償還額の差である8億円の支出削減を行うことでプライマリーバランスはとることができるようになります。
「今後、少子高齢化が拡大すれば、税収は減り、支出は増える」という点を考慮しなければ安曇野市の財政はまずまず健全であると言えるでしょう。
短期的に見ればプライマリーバランスをとること、長期的に見れば少子高齢化の解決、この2点が安曇野市の財政のために必要でしょう。

乱発する公共事業

安曇野市は平成17年の平成の大合併以降、大型の公共事業を頻発しています。
国は平成の大合併を推進するため、地方に合併のインセンティブを与えました。
それが「合併特例債」です。
合併特例債とは、平成の大合併による新市町村建設計画の事業費として特例的に起債できる地方債で、事業費の95パーセントに充当でき、国が返済の70パーセントを負担するという制度です。
いずれにせよ、返済していくのは国民なのですが、地方自治体とすれば、返済の70%もの額を国が負ってくれるため、「お得」なのです。
この合併特例債は合併から15年有効です。
平成17年に誕生した安曇野市は平成32年まで合併特例債を発行できることになります。
合併以降、安曇野市はありとあらゆるものが綺麗になりました。
これまで行われた安曇野市の事業を調べてみました。

新庁舎:建設費51億円
美術館:建設費2.7億円
豊科ICから安曇野インターチェンジへの名称変更:費用2.1億円
交流学習センター(図書館):建設費12億円、この他市内2カ所にも建設
温泉施設:建設費12億円

繰り返しになりますが、筆者が知っているだけでも、安曇野市はここ数年で数多くの公共事業を行い、市内はみるみる綺麗になっています。
確かに合併特例債は国が7割の返済を負ってくれますが、3割は市が返済していかなければなりません。
安曇野市は相次ぐ公共事業の費用が膨らみ現在財政的には非常に苦しくなっています。
それでも、平成32年の合併特例債の発行期限を前に安曇野市は最後の大型公共事業を発表しています。
新体育館建設です。
総工費は最大38億円にのぼります。
また、維持費だけで年間2,000万円以上と試算されています。
安曇野市の財政は現在は8億円の赤字です。
8億円さえどうにかすれば、少子高齢化を考えなければ財政は健全化します。
しかし、ここに大型の公共事業が120億円近く行い、その3割を市が負担すると言っても、36億円の借金増です。
さらに維持費も増加します。
民間経済が活発化するための施設建設ならまだしも、市が丸抱えの事業ばかりですので、まさにやっていることが時代に逆行していると言わざるを得ません。
今後、安曇野市の財政はますます厳しくなっていくのではないでしょうか?

 

まとめ

安曇野市は首都圏からの移住者も多く、社会増が多い自治体です。
それでも、高齢化は甚だしく、2040年には現在の98,000人の人口が78,000人まで約2万人減少する予測となっています。
しかし、高齢者数は変わらないため、約1人の現役世代で1人のお年寄りを支えなければならないと、非常に厳しい将来が待っています。
経済においては、4人に1人が隣市の松本市内に勤務しており、松本市のベットタウンという扱いです。
製造業は伸びており、農業も耕作面積自体は増加しています。
しかし、農業者1人あたりの売上規模は220万円程度で、現役世代が食える農業になるまでには産業として成長していません。
今後は食える農業にすることが、安曇野市の成長の鍵になると考えられます。
財政はまずまず健全ですが、平成17年の平成の大合併以降乱発した公共事業のツケがまわり、今後は財政が苦しくなっていくことが予想されます。
早期のプライマリーバランスの健全化、少子化対策、安曇野市内の雇用拡大が安曇野市には急務でしょう。

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