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【金融機関支店長が解説】令和元年の金融庁レポートから銀行融資 信金融資の今後の方向性を読む

更新日:

資金繰ラウンジ編集長のこくもち(黒餅)
令和になってはじめての金融庁レポートが出ていますので、自分の勉強のために金融機関の支店長さんに読み解いてもらいました。

令和元年8月28日に金融庁より「利用者を中心とした新時代の金融サービス〜金融行政のこれまでの実践と今後の方針〜」と題した方針が公表されました。

これは、今後金融庁が「金融育成庁」として金融サービス利用者の視点に立ち、金融行政の目標である企業・経済の持続的な成長と安定的な資産形成等による豊かな国民生活の実現に向けた方針を明文化したものです。

内容は以下の構成となっています。
⑴金融行政の重点施策
1.金融デジタライゼーション戦略の推進
2.多様なニーズに応じた金融サービスの向上
3.金融仲介機能の十分な発揮と金融システム安定の確保

⑵世界共通の課題解決への貢献と金融当局・金融行政運営の改革
1.世界共通の課題解決への貢献及び国際的な当局間ネットワーク・協力の強化
2.金融当局・金融行政運営の改革

猫山支店長
今回はこの中から、金融機関の今後の方針に強く影響する「⑴−3.金融仲介機能の十分な発揮と金融システム安定の確保」の各項目について解説をしていきます。

「金融仲介機能の十分な発揮と金融システム安定の確保」を読み解く

経済・金融市場の現状を金融庁は順調と評価

リーマンショックから立ち直り近年は内外ともに経済は回復基調にありますが、米中通商問題や欧州情勢を指摘し、リスク性資産の市場動向に注意が必要としています。

特に近年の世界的な低金利政策により膨張したマネーの影響として金融機関の収益力の低下を挙げており、金融機関が過剰な融資で利益を追求することに対し「収益機会を求めた行動が見られる」との懸念を感じさせる表現があります。

ここでの金融庁の懸念は「クレジットサイクルの反転」であり、不確実性を増している世界経済がネガティブに振れた場合の、供給から回収への融資姿勢の反転による収益機会の減少、及び企業業績悪化による与信コスト・信用コストの上昇(引当金の増加)の可能性を危惧しています。

実際の資料では2018年度の信用コスト率(※)は上昇に転じており、金融庁が身構えるのも当然です。

金融庁の現時点で市場に対する認識は「本日天気晴朗なれども波高し」といったところで、順調であるが懸念あり、と言えそうです。

金融庁は地域金融機関の業績に懸念を抱いている

まず金融庁の「地域金融機関」に対する定義ですが、地銀以下の金融機関を示すものとなっています。信用金庫・信用組合もこれに含まれます。

地銀の決算状況は貸出利ざやの縮小から利益低下傾向で推移しており、特に信用コスト率については「今後注視していく必要」があるとして、2018年の信用コスト率の上昇を強く警戒していることが伺えます。

また地銀の運用する国債・地方債の約4割が今後3年間以内で償還されることを指摘し、債権売却益による決算のお化粧ができる余地は限定的と考えているようです。

総合すると地域金融機関に対しての懸念事項は、利益水準の低下と信用コストの上昇によるダブルパンチが発生し急速に経営が悪化することであるといえます。

そういった事象が突発的に発生しないよう、金融庁は「モニタリングを実施」するとし、健全性に懸念ある地域金融機関に対しては「早期警戒制度を活用」する方針です。

ここで金融庁は「経営改善を促す」と表現しており、介入レベルは高くはしないことを匂わせていると思います。

これは後述しますが、金融庁は過去の反省から各金融機関の自主性を重んじる姿勢へと大きく変化をしています。

今回資料の中でも「指導」という言葉はほどんど出てこないなど、金融庁がかなり地域金融機関に気を使っている様子が伺えます。

地域金融機関は「金融仲介機能の発揮」を強く求められる

金融庁からの地域金融機関への要望として強く打ち出されているのが「金融仲介機能の発揮」です。

金融仲介機能とは「金融機関が、取引先企業の事業の実態をよく理解し、融資やコンサルティングに取り組むことによりそのニーズや課題に適切に応えていくこと」としており、資金の出し手である金融機関が、より顧客企業と向き合い経営者に伴走しながらソリューションの提案や実行を行い、企業の生産性の向上や事業継続・発展に寄与すべしとしています。

地域金融機関は2015年から金融仲介機能が発揮された事例を金融庁に報告しています。

金融庁が行なった企業アンケートによれば、9割弱の企業が「金融機関は経営課題を聞いてくれる」と回答し、半数が「フィードバック内容に納得感がある」と答えるなど、顧客との深い対話とソリューション提供が行われておりかつ好評であることに、金融庁は指導の効果を実感している節があります。

一方で提供されたソリューションは資金繰り及び融資に関するものが多く、経営改善サービスに関する事例は比較的少ないことから、未だ企業ニーズに十分応えてはいないと考えており、今後も金融仲介機能の発揮は重要項目であり続けると考えます。

地域金融機関には与えられた課題とは?

金融庁が考える地域金融機関の課題は以下のものです。
・安定した収益と将来にわたる健全性の確保
・金融仲介機能を十分に発揮すること
・地域企業の生産性の向上や地域経済の発展に貢献すること

まずは「金融仲介機能を十分に発揮」すべく経営改善支援や各種制度のマッチング、販路拡大支援等を行い「地域企業の生産性の向上や地域経済の発展に貢献」し、その結果としてメイン化の推進や融資残高の増加、各種役務取引手数料の増加などにより「安定した収益と将来にわたる健全性の確保」を行うべし。金融庁の描いた青写真を簡単に言えばこうなります。

その実現のためには「経営者は確固たる経営理念を確立」し、その実現に向けた「経営戦略の策定」と「着実な実行、PDCAの実践」を図ることが重要としています。

この金融庁のコンサルタントじみた実施策の実現に向けて「各階層(経営トップから役員、本部職員、支店長、営業職員)、社外取締役とフラットな関係で対話」を実施するとしています。

そこで強調されているのは、対話時に「心理的安全性を確保することに努める」ことであり、安心して発言・行動できる状態や雰囲気の中でヒアリングを行うことが重要と考えているようです。

これは実際に履行されていると感じます。私の勤務する金融機関で少し前に検査がありましたが、威圧的な追求行為はなく、温和な対話を心がけていることが感じられました。

以前の資産査定中心の検査ではあり得ないスタンスを取っており、構えていた自分が馬鹿馬鹿しくなるほどの変貌ぶりでした。

ガバナンスへの強いこだわりとチェック姿勢

前述の通り、金融庁は地域金融機関の課題として「経営理念確立」「経営戦略の策定」「PDCA」を挙げています。

そして金融庁はこれら事項の実現について基本的にはモニタリングしていく姿勢であり、強硬な介入を行う姿勢はありません。

これは平成における金融検査マニュアルを聖典とした苛烈な資産査定により地域金融機関がリスクテイクできなくなったことからの反省であると思われ、「対話型」へのシフトはその証拠とも言えます。

もっとも、金融庁はヒアリングだけしかしない訳ではありません。経営戦略は有効であるのか、PDCAサイクルは回っているのか等、モニタリングは徹底的に行う印象があります。

実際に検査を受けた時、特に重視していると感じたのは、経営理念と戦略が末端の従業員まで正しく認識できているか、またその指示系統に問題はないかなど、企業ガバナンスが成立しているかを重要視しているという点です。

トップの方針と担当部で策定した計画を現場の従業員が認識していないのでは「DO」に意味がなくなり「CHECK」のしようがありません。

金融庁は経営方針やその実践方法は各金融機関の意思を尊重しますが、その履行についてはキッチリと管理していくというスタンスであり、高圧的な対応で方針や施策を曲げることはしませんが、「心理的安全を確保」した上で全階層のスタッフからヒアリングを行い「実態」をあぶり出し、PDCAの履行については追求していく、そんな姿勢であると思います。

地域金融機関の持続可能なビジネスモデルの構築に向けたパッケージ策

金融庁は地域金融機関に対し、持続可能なビジネスモデルの構築のためのその他施策(パッケージ策)を提示しています。重要な部分として1件紹介します。

経営者保証に関するガイドライン

「円滑な事業承継を促す観点から、事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』特則の策定に取り組む」とあり、これからは今まで以上に融資において代表取締役等の連帯保証を求めない流れとなることは間違いないと思います。

それは「金融仲介の取組状況を客観的に評価できるKPIを設定」するとして、事業承継時の保証徴求割合や新規融資での経営者保証に依存しない割合などが対象となることからも明らかです。

 

これからの銀行・信用金庫の融資姿勢はどうなる?

至上命題となった「持続可能なビジネスモデルの構築」

金融庁が最も懸念しているのは、地域金融機関の存続です。資料内にもあるように地域金融機関の利益は2016年から減少を続けており、マイナス金利政策も終わりが見えないことから今後も厳しい収益状況が続くことが予想されます。

金融機関の再編も視野に入りますが、まずは各金融機関が自助努力にて収益状況を改善し、安定した事業継続をしていくことを強く望んでいます。

資料の中でも「持続可能なビジネスモデルの構築」という言葉が強調され、各金融機関ごとにビジネスモデルの構築が求められていますが、所詮は同業種であるため差別化は極めて困難です。

また、2018年にスルガ銀行の不正融資が発覚しました。

これは主に個人向けアパート・マンション融資において融資審査を通過させるべく預金通帳等の書類を偽造するなどの不正行為を行なっていたもので、その実態が判明すると大問題となりスルガ銀行の評判は地に落ちましたが、実は事件以前のスルガ銀行は地銀の最優等生とされており、2017年において突出した利益率および利益率増加幅を叩き出していました。

加えて森前金融庁長官が「新たなビジネスモデルを成功させている代表例」として取り上げているなど、時代の寵児としてもてはやされていたのです。

そのスルガ銀行の蹉跌から、金融機関は近年融資残高を稼げていたアパ・マン融資に慎重にならざるを得ず、収益モデルとしての多様性はさらに失われることとなりました。

「事業性評価融資」に命運を託す

現在、ほぼすべての地域金融機関は「事業性評価融資」に注力しています。事業性評価融資を簡単に説明すると
“企業の事業内容や将来性を十分に理解・評価し、担保・保証によらない融資を行う”
これに尽きます。

将来性を緻密に計測し、その結果キャッシュフローが出るのであれば低リスクであるので担保・保証は極力徴求しない、基本的にはこの姿勢となっています。

というか、こうしていかなければ金融庁の意向に沿うことはできません。

事業性評価融資を単に融資するだけでは金融機関にとって意味はありません。金融機関は「事業性融資=高金利融資」としなければ意味はないのです。

事業性評価融資は「評価」を行うことが前提となるため分析が必要となります。

ローカルベンチマーク等の各フレームワークを使用し、顧客と対話を重ね、結果ソリューションを提案したことに対する「報酬」として、高めの金利をいただくのが事業性評価融資の金融機関側の真の狙いです。

マイナス金利下における金余り状況において平均金利以上の融資金利を獲得する方法は他になく、どの金融機関もこの戦略を採用しています。

対話とソリューション提案の対価として金利を上乗せする戦略ですから、顧客とのコミニュケーションの頻度と深度は高まることとなり、前述の「9割弱の企業が金融機関は経営課題を聞いてくれると回答」とのアンケート結果はいかに金融機関が事業性評価融資に躍起になっているかを証明しています。

地域金融機関から有利な融資を受けるため認識すべき4つのこと

地域金融機関の今後の融資姿勢を以下にまとめていきます。

地域金融機関は融資機会を求めている

金融庁の指示を受けるまでもなく、地域金融機関は低収益に苦しんでいます。

その中で融資平均残高の増加・維持は重要項目となっており、現場にとって融資案件獲得こそが最優先事項です。

事業性評価融資は高金利を獲得するためのものですが、それ以外の融資も渇望しています。

どちらかといえば事業性評価融資は時間と労力が多大に必要となるため、そうではない通常の融資案件こそ、現場が欲しがっているものなのです。

融資案件には前のめりの姿勢

近年融資残高を稼いでいたアパ・マン融資もスルガ銀行の事案から及び腰となり、消費税増税が実施されたことから一般住宅案件もトーンダウンすることが予測されています。

また製造業においても米中通商問題、欧州の不振などから暗雲が見え始め、資金需要は減少していくのが大方の予想です。

金融機関にとって融資案件はこれまで以上に減少することから、案件に対して何としても成立させるべく取り組むことは間違いありません。借り手の以上の逼迫感をもって案件に取り組んでくれるはずです。

金融庁への報告事項であるため、どうしても事業性評価融資がほしい

金融庁は地域金融機関への強権的な介入はしなくなったと説明しました。その代わり、彼らの目標を達成すべくモニタリングはキッチリと行なっていく意向です。

その中で、地域金融機関の持続に対する骨子である事業性評価融資は重要項目であり、目標値の未達は許されません。これから地域金融機関は「特に」事業性評価融資に躍起になります。

企業自身が認識していない問題を掘り返してソリューションを提案する、こんな事が現在行われています。

キャッシュフローに合わせた借入の見直し、創業・新事業の立ち上げ、成長分野への進出等、金融機関が「伴走した」形を取れる融資案件は、地域金融機関にとって非常にありがたい案件なのです。

ありとあらゆる手を尽くして案件を成就させようと立ち回ってくれるはずです。

担保・保証は最低限での対応を期待できる

これまではあまり積極的に取り組んできませんでしたが、地域金融機関は担保・保証なしでの融資対応を行なっていく必要があると考えています。

金融庁の「金融仲介の取組状況を客観的に評価できるKPI」には担保・保証によらない融資取扱件数も含まれており、意識せざるを得ません。

実際の融資申込み時点で「担保や連帯保証人を無しとする取扱は可能か?」との問い合わせを行う価値はあります。

金融機関にとっては当然リスクフルな融資となりますが、金融庁への報告対象となることは少なくないインセンティブとなるからです。

 


【信用コスト】
取引先の倒産等により、1年間に発生すると予想される費用(損失)のこと。貸出金の焦げ付きによる回収不能となった金額や、融資先の信用状況が悪化することによるリスクの増大(債務者区分のランクダウン)に備えて積み増す引当金等を予想し、計上される。信用コストが増加するということは、個別要因を除けば金融機関が先行きの景気に対し警戒していると言える。

【信用コスト率】
計算式:信用コスト÷貸出金残高
金融機関の貸出金残高に対しての信用コストの割合。信用コスト率が上昇するということは、貸出金の不健全さが上昇するとの予測を表しており、貸付金に対する保全の強化や信用力の低い顧客からの回収など、信用コスト率を低下させる動きを金融機関は行うことになる。

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