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三菱UFJ信託銀行が法人融資を捨てたことから見る銀行と信託銀行の今後

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2017年5月、三菱東京フィナンシャルグループが傘下の三菱UFJ信託銀行の法人融資事業を三菱東京UFJ銀行へ移管すると発表しました。
長年競合関係にあったグループ内での法人融資部門にようやくメスが入ったと評価する声がある一方、大事な収益源を捨てて三菱UFJ信託銀行は大丈夫かという声もあり、この決定には賛否両論があります。
三菱UFJ信託銀行が法人融資事業を捨てたことにはどのような背景があるのでしょうか?
また、この問題は今後の銀行のあり方を占っているとも考えることもできます。
三菱UFJ信託銀行の法人融資事業が三菱東京UFJ銀行へ移管された問題について考察します。

三菱UHJ信託銀行は商業銀行へ法人融資を移管

三菱UFJ銀行の法人融資事業は業界の中でもかなりの規模があります。
この数字の大きさからも今回の発表が金融業界全体を大きく賑わすことになったと言えます。

融資量12兆円

信託銀行というと、資産運用がメインに思いますが、三菱UFJ信託銀行は融資量も国内上位です。
平成28年3月末の融資残高は約13兆2千億円、そのうち12兆円が法人融資向けで、国内のすべての金融機関の中でも7番目の規模があります。
ちなみに首位の三菱東京UFJ銀行の融資量が86兆7千億円程度ですので、グループ内で100兆円程度の融資量があることになります。
今回、三菱UFJ銀行の法人部門が三菱東京UFJ銀行へ移管されれば融資量は2位のみずほ銀行の約70兆円を大きく引き離し、ダントツで三菱東京UFJ銀行が首位になることになります。

取引先数2,600社

三菱UFJ信託銀行の法人融資先数は約2,600社といわれています。
融資量12兆円にたいして2,600社ですので、1社あたりの平均貸付額は約4,600万円となり、規模の大きな会社に対してしか取引をしていないこととなります。
この点が資産運用をメインとしている信託銀行の特徴と言えるでしょう。
ちなみに、首位の三菱東京UFJ銀行の取引先数が約12万4,000社で1社あたりの平均貸付額は約690万円程度ですので、三菱UFJ信託の1社あたりの融資額の規模がいかに大きいかがよく分かります。

三菱UFJ証券を100%子会社へ

三菱UFJ信託の法人融資事業を三菱東京UFJ銀行へ移管すると発表する同時に、三菱UFJ信託は、三菱UFJ証券ホールディングスと三菱東京UFJ銀行が持つ三菱UFJ国際投信の株式を譲り受け、現在51%の出資比率を100%に引き上げることも発表しました。
簡単に言えば、融資ビジネスは銀行へ、運用ビジネスは信託銀行へという方向性を打ち出したということです。
これはどのような背景で、どのような意味を持つのでしょうか?

 

そもそも信託銀行と銀行の違いとは?

信託銀行と、銀行の違いは今はほとんどありません。
まずは、そもそもの信託銀行と銀行の違いを説明していきます。

銀行の業務

銀行業務とは、顧客から預金を預かり、融資によって運用することを業務としています。
自分たちで投資信託を開発したり、顧客の不動産や有価証券などの資産を運用することはできません。
あくまでもお金を預かり、融資するということに特化しています。
また、お金を送金する為替業務という業務も行っています。
お金を預かったり、貸したり、誰かに送金したりと「世の中のお金を必要としているところに動かす」ことを銀行は行なっています。
したがって、運用のメインは「融資」です。
この①預金②貸付③為替の3つの業務を銀行の三大業務と言います。

信託銀行の業務

信託銀行では、銀行が行う三大業務(預金業務・貸付業務・為替業務)に加えて、信託業務を行います。
信託業務とは、資産の管理を任せたい人(顧客)が財産の名義を信託銀行に移し、目的に沿って資産を管理してもらうことです。
信託する資産には、お金や有価証券、動産・不動産などと非常に多岐に渡ります。
信託銀行は資産運用によって発生した利益を顧客に還元し、自らは手数料分をもらうことで利益をだしています。
信託銀行は1960年代から「貸付信託(顧客から預かった資産を貸付によって融資する)」によって融資量を伸ばしてきました。
貸付信託はビッグという商品が有名で、借入期間2年ないし5年の融資です。
そのため、信託銀行には昔から融資取引先が存在するのです。

昔は融資期間によって棲み分けができていた

今から20年以上前までは、信託銀行の融資と、銀行融資の棲み分けは一応存在していました。
信託銀行は企業にたいして設備資金などの高額で長期間の融資を行い、銀行は短期の運転資金を融資するという形で銀行と信託銀行は棲み分けていました。
しかし、バブル崩壊後の長期金利の低下によって貸付信託ビッグは運用価値がなくなり、すべての信託銀行で新規取扱停止になり、信託銀行も短期資金や期間5年程度の中期間の融資を行うようになります。
また、銀行も短期資金の融資が減少し、融資期間5年程度の比較的短中期的な融資がメインになります。

グループ内で競合するように

また、銀行でも規制緩和によって、傘下に証券会社を持ったり、銀行窓口での金融商品の販売ができるようになります。
長期金利の低迷と相まって、2005年から議論が始まった金融コングロマリット(金融持ち株会社のもと銀行、証券会社、保険会社などの金融機関をグループ化する組織形態)によって、銀行業務は多岐にわたるようになり、ますます銀行と信託銀行の棲み分けは難しくなります。
銀行と信託銀行は融資業務のほか、様々な分野で競合するようになってしまうのです。

 

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三菱UFJ銀行の決断の背景

以前から、三菱UFJ信託銀行と三菱東京UFJ銀行の法人融資の競合については指摘されていました。
しかし、三菱UFJ信託銀行は一貫して法人融資部門の移管に反対してきました。
今回、三菱UFJ信託銀行が法人融資の銀行への移管の決断をしたのには、今銀行業務を取り巻く厳しい社会的な背景が存在します。
また、政府が国全体のマネーの流れのビジョンを明確化したことも起因となっているようです。

マイナス金利で貸出金利低下

2016年、日銀は当座預金の一部にマイナス金利を導入することを発表します。
これに、よって、貸出金利が下落し、銀行は利ざやがますます取れなくなります。
金融業界はどこも好調という中、銀行業務だけが厳しくなっています。
三菱東京UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行は、ただでさえ厳しい貸出業務を行なっている中でグループ内で強豪していることは、どう考えても効率的とは言えません。
厳しい状況下では、「選択と集中」を行い、貸金業務は銀行へ、運用業務は信託銀行へというように、棲み分けを行い、銀行と信託銀行が競合しないようにしたのです。
貸金業務が好調の際には、同じグループ内であってもどちらも切磋琢磨して融資を伸ばせば問題ありません。
しかし、貸しても儲からない時代にわざわざグループ内で競合する意味はどこにもないという経営判断が背景にあります。

金融と経済の好循環

金融庁は平成29年度金融行政方針の中で、国が目指す、金融と経済の好循環のビジョンを示しています。
従来の、①資産(預金者)→銀行→企業という流れに加えて、②資産(投資家)→運用市場→企業というもう1つのお金の流れを作ろうというビジョンです。
お金を持っている人は、今まで預金を銀行に預けるのが当たり前でした。また、企業も資金調達と言えば、銀行から融資で資金を調達することが当然でした。
今後は、個人の資産を運用市場へ流し、企業は運用市場からも資金調達を行う流れを作ろうという試みです。
今後、国が目指す資産の流れを考えたとき、銀行と信託銀行が法人融資業務で競合しているという状態はどう考えても、この流れにあいません。
銀行は①の流れを担い、②の流れを信託銀行が担うというのが、今後の日本の資産の流れに対応するためには効率的と言えます。
そのため、三菱東京UFJ銀行には三菱UFJ信託銀行の法人貸出部門を移管し、三菱UFJ信託銀行には三菱UFJ証券の株式をそれぞれ移すことになったのです。

スチュワードシップコード

スチュワードシップコードとは、機関投資家のあるべき姿を規定した、投資先企業への金融機関の経営監視を行うためのガイダンスで、リーマンショック時の反省をもとに、2010年にイギリスで規定されました。
日本では、2014年に機関投資家が、対話を通じて、企業への成長を促すという受益者としての責任を果たすための原則である日本版スチュワードシップコードが公表されました。
三菱UFJ信託銀行も、2014年5月に日本版スチュワードシップコードの受け入れを公表しました。
今後は、ただ企業へ投資を行うだけでなく、投資先企業の中長期的な成長を促すという責任を三菱UFJ信託銀行は負っていかなければなりません。
銀行が融資先の企業の成長に責任を負っているように、スチュアードコードによって、信託銀行のような機関投資家も企業の成長に責任を持つ必要が生じたのです。

このように、銀行と機関投資家である信託銀行が、それぞれ別の手段によって、「企業の発展」という同じ目的に向かっていくことになったことも、融資は融資に特化し、投資は投資に特化した方が、企業の発展につながるというのが政府の考えです。
また、今後は預金だけでなく、投資市場へも個人の資産が政府の思惑通りに流れていけば、信託銀行は運用業務だけに集中し、運用業務の規模拡大をはかって行った方が、グループ全体の発展につながるのではないでしょうか?

 

それぞれの分野に特化しないと生き残れない

国が目指しているのは、企業が発展し、ひいては日本全体が発展することです。
ここ数年、メガバンクも信託銀行も地方銀行も本業ではない部分から収益を上げてきました。
しかし、銀行は融資によって資金提供を行い、信託銀行は投資によって委託者の資産を増やし、投資先には必要な資金を提供するという役目を本来は負っています。
また、地方銀行は地域経済の活性化という役目を負っています。
金融庁は、森長官に変わってから、これらの金融機関が本来あるべき役目を果たすことが、企業や地域経済や日本全体の発展につながり、その先に、金融機関の発展があるという考えに変わりました。
今後は、信託銀行だけではなく、あらゆる金融業界で「本業回帰」の流れが加速するのではないでしょうか?
しかし、低金利時代が継続する中、金融機関がどこまで本業だけで食べていけるのかは不透明です。
しかし、これからは、金融機関がそれぞれのフィールドで与えられた役割を果たしていかなければ、営業基盤そのものが消失してしまう可能性が少なくありません。
今後は、金融機関自ら、本来の役割で与えられた市場をさらに広げるという姿勢がなければ、日本経済は人口減少とともにどんどん縮小して行ってしまうかもしれません。

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