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少人数私募債とは?募集と発行手続きと償還→中小零細企業の資金調達に活用

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企業が銀行から資金調達を受けるには、審査があります。
しかし、中小企業が大型の設備投資や大型のプロジェクトのために銀行から融資を受けることは簡単ではありません。
そこで、中小企業が外部から資金調達を受ける方法として「私募債を発行する」という方法があります。
私募債には、主に銀行に社債を引き受けてもらう銀行保証付私募債と、50人未満に社債を引き受けてもらう少人数私募債があります。
銀行保証付私募債は銀行がリスクを負うため、銀行の厳しい審査をクリアする必要があり、どの企業でも資金調達ができるわけではありません。
むしろ、銀行保証付私募債が発行できるのは、中小企業の中でも業績が良好なごく一部の企業に限られます。
一方、少人数私募債は、発行のルールや条件さえ具備できればどのような企業でも募集することができます。
少人数私募債発行の手続き方法さえ覚えておけば、企業にとって資金調達チャネルを1つ獲得することになり、会社の資金調達を銀行借入だけに左右されることが無くなります。
この記事では、少人数私募債の概要や手続きなどについて詳しく解説していきます。

少人数私募債の概要

少人数私募債は、少人数を対象に総額1億円未満程度のそれほど多くない金額の社債を発行するものです。
具体的には以下の4つの条件を具備する必要があります。

発行できるのは法人のみ、個人事業主は発行できない

社債を発行できるのは、法人だけです。
個人名義で事業を営んでいる個人事業主は発行することができません。

総額を口数で割った数が50口未満であること

少人数私募債は発行口数が50口未満である必要があります。
総額を1口当たりの金額で割った口数が50口未満となるように発行する必要がありますので、例えば総額1000万円の少人数私募債を発行するのであれば、一口20万円とした場合には50口になってしまうため、一口20万円超となるように発行する必要があります。

引受人の総数が50人未満であること

少人数私募債は、引受人の数が50人未満である必要があります。
募集の際に、50人以上の購入希望者が集まってしまった場合には、50人未満となるように審査や抽選を行う必要があります。

譲渡制限を設けること

少人数私募債は社債の発行後も社債引受人の数が50人未満である必要があります。
そもそも社債は購入者が他人に譲渡することができます。
発行後に複数の人に分割譲渡されてしまった場合には、発行後の引受人の数が50人以上となってしまう可能性があります。
この可能性を排除するために、社債の発行後の譲渡は、「一括譲渡しかできない」などという譲渡制限を設ける必要があります。

募集するまでの手続き

私募債を募集するまでには、募集要項を作成し、取締役会の決議を経る必要があります。

募集要項を作成

社債を購入してくれる人を募集するための概要を作成しなければなりません。
募集要項に必ず記載しなければならない内容は会社法に定められており、具体的には以下のように決められています。
①募集総額
②一口の金額
③利率
④償還の方法と期限
⑤利息の支払方法と期限

また、募集要項では、勧誘のために会社の内容を知ってもらう必要があります。
そこで、どのような事業を行なっているのか、財務内容や収益力はどのくらいか、業界の中での優位性はどのような点かを知ってもらうために事業計画書も添付した方がよいでしょう。
事業計画書は具体的に以下のような内容を記載します。
①会社概要
②集めた資金の使い道
③市場の中でのポジション
④今後目指す方向性と戦略
⑤資金計画や資金繰り表

私募債の内容と会社の事業計画などをすべて開示した上で、それを読んだ投資家が「購入してみよう」という気持ちになって初めて私募債を販売することができますので、開示できる情報や今後のビジョンなどはできる限りオープンにして情報開示を行いましょう。

利率の設定

私募債を購入してくれる人は、単純に会社を応援しようとか、会社との関係性上「断れない」という人ばかりではありません。
投資商品として魅力を感じるからこそ、購入を検討するという人も存在します。
そのような人にとって、私募債の利回りはとても重要です。
利回りが高い方が投資家にとっては魅力である反面、利回りが高いと会社の利息負担は増大し、銀行からお金を借りておいた方が費用負担が少ないことになります。
そのため、利率は預金金利より高い方がよいことは当たり前ですが、会社の収益を圧迫するほどであってはなりません。
具体的には3%前後というのが相場でしょう。
私募債の利率は会社で自由に決めることができます。
このため、無理なく、販売しやすい利率を設定しましょう。

発行総額が1億円以上となる場合

少人数私募債は基本的に発行総額が1億円未満となる社債です。
しかし、募集要項に以下の条件を具備することができれば1億円以上の発行も可能となっています。

・有価証券通知書、有価証券届出書を提出していないこと
・記名式で、一括譲渡以外の譲渡が制限されていること
・表示単位未満の分割制限が課せられていること

1億円を50口未満にすると、1口当たりの金額は必ず200万円超となります。
このため、譲渡や分割制限をかけておかなければ、引受人の数が50人以上となってしまい、少人数私募債の条件を具備することができなくなってしまうため注意が必要です。
・取締役会の決議を経る
作成した募集要項は取締役会の決議を経る必要があります。
取締役会で議決を得ることができれば、会社として正式に私募債を発行することができるようになります。
また、この決議の議事録は「確かに私募債の発行を議決した」という証明になります。
議事録は取締役会から10年間は保管しておくようにしましょう。

誰に買ってもらう?

少人数私募債は、自社で私募債の購入者を探す必要があります。
「自分の会社にお金を貸してくれる人をどうやって探せばよいのだろう?」と疑問に思う方も少なくないかと思います。
実際に少人数私募債の発行で最も難しいのがこの点です。
具体的には以下の方法によって私募債の購入者を探します。

説明会で募集

説明会などを開催して私募債の購入希望者に、私募債の概要や、事業計画書などを説明する方法があります。
説明会での募集は、集まってくれた人に対して「この会社を応援したい」と思ってもらうことが第一です。
しかし、説明会での募集は、SNSなどで告知を行い、不特定多数の人に説明会に来てもらう必要がありますので、ノウハウのない会社は説明会に人を集めるというだけでもハードルが高いと言えます。
コンサルタント会社などに相談すると、説明会の開催まで行ってくれるケースもあります。

知人を勧誘

少人数私募債で最も多いケースが、会社役員の親族や知人などに社債を購入してもらうという方法です。
実際には、知人や会社からお金を借りるということなのですが、社債という形をとることによって、お金を貸す側としても口約束でお金を貸すよりもお金が返済される可能性が高いですし、利息も購入時に確定しているため、返済が履行される可能性が高いと言えます。
もちろん、知人でなくても私募債を引き受けてくれる会社や人が存在すれば、そちらに勧誘を行ってみましょう。
筆者は以前、ホテルがホテル再生のコンサル会社から1000万円の私募債を引き受けてもらったケースを目にしたことがありますし、会計事務所に引き受けてもらったケースも見たことがあります。
このようなケースは、コンサル会社や会計事務所が「この会社を応援したい」という意思を持って私募債を引き受けたケースと言えます。
また、新規事業のための資金を借りたい場合には、エンジェル投資家や知人などを回って、「このようなビジネスをやりたいので協力してくれ」と勧誘することでも私募債を引き受けてもらえる場合があります。
事業や会社の魅力を積極的アピールして「事業を助けたい」「応援したい」という気持ちにさせることが重要です。

引受人が50人未満になるように

少人数私募債を引き受けてもらうには自分の足と口で勧誘を行う必要があります。
しかし、少人数私募債は50人未満しか購入することができません。
せっかく買ってくれるという人が集まっても、その人数が50人以上であった場合には、誰かには私募債の発行を断らなければならなくなってしまいます。
購入希望者を集めることが大変なのですが、集めすぎにも注意しましょう。

 

少人数私募債申込の手続き

私募債を購入してくれるという人が現れたら「社債申込証」という書類に記入をしてもらう必要があります。
会社法では社債申込証以外での購入申込はすべて無効とされています。
また、社債申込証には以下の項目を記載してもらう必要があります。
①購入希望者の住所氏名
②引き受けたい金額と口数
③希望する払込金額

さらにトラブル防止のために、一口の金額、利率、償還方法と利息の支払総額や会社名などを記載しておいた方がよいでしょう。

スムーズに購入手続きが進むように、募集時に事前に上記の項目を記載できるような書式を具備した社債申込証を会社側で作成しておいた方がよいでしょう。

 

審査も行おう

多くの人から社債の申込を受けた場合には申込人の審査を会社側で行う必要があります。
この審査が会社の後々の資金繰りにとっては非常に重要になります。

会社を応援したい人かどうか

少人数私募債は親戚や知人などの方が引受人として適していると言われています。
このような人は純粋に「会社を応援したい」という気持ちで社債を購入してくれる人であるためです。
お金目的ではないため、満期償還まで私募債を保有してくれる可能性が高いのです。

投資目的の場合は短期解約のリスクあり

一方、単純に利息に魅力を感じて資産運用目的で私募債を購入する人の場合には、その後の金利情勢や株式市場などの情勢によっては、短期で解約してしまう可能性があります。
社債は発行から満期償還まで金利が変わらないため、市場の金利が上場した場合には、その後に発行される債券に投資をした方が良いためです。
このような人は、社債を中途解約して、そのお金を他の金融商品に回してしまう可能性があります。
会社側とすれば、短期解約の条件を具備した解約に対しては払い戻しに応じる必要があります。
このため、突然短期解約のお金を用意する必要に迫られるリスクがあります。
少人数私募債は、このようなことがないように、できる限り資産運用目的ではなく、純粋に会社を応援したいという気持ちで購入してくれる人に引き受けてもらった方がよいでしょう。

 

購入者決定後の手続き

募集を行い、申込を受け、審査が終了すると、社債の購入者が決定します。
購入者決定後の手続きは以下のようになります。

振込

社債の引き受けが決定した人に対して「募集決定通知書」という書類を送付します。
募集決定通知書は「振込期日の前日までに通知しなければならない」と定められています。
むしろ、期日の前日に通知書が届いたら社会通念上は遅すぎると判断されてしまいます。
このため、社債の引受人が決定したら、可及的速やかに募集決定通知書を送付しましょう。
なお、募集決定通知書には以下のような項目を記載しましょう。
①引き受け金額(口数)
②払込期日
③振込口座
この通知書が引受人に交付されると、指定した口座に引受人から振込があります。

預かり証の送付

入金を会社側で確認したら「社債申込証拠金預り証」を購入者に対して送付します。
社債申込証拠金預り証には以下のような内容を記載し、収入印紙を貼付して送付します。
①入金日
②入金された金額
③少人数私募債の金額と口数

少人数私募債の場合、この「社債申込証拠金預り証」がいわゆる有価証券としての社債になります。
社債申込証拠金預り証とは別に社債券を発行することもできますが、費用面と手続面でコストがかかるため、ほとんどの会社が社債申込証拠金預り証で社債の発行としています。

社債原簿の作成

社債原簿というのは、社債の購入者の名簿のようなものです。
会社法では以下の項目を具備した社債原簿を作成し、会社で保管しなければならないと定めています。
①私募債を購入者の氏名・住所
②私募債の内容(利率、償還方法、償還期限、利息支払方法等)
③購入した金額と口数
④購入した年月日
⑤利息の支払状況

 

利息の支払いと満期償還の手続き

利息の支払いと満期償還の手続きは以下のように行います。
「受け取っていない」というトラブルにならないように配慮することが重要です。

利息の支払い

利息を支払う前に「社債利息支払通知書」を購入者に送付して、その後利息を入金します。
入金後に「社債利息受取確認書」という書類を送付して、「確かに利息を受け取りました」という署名と押印をもらいます。

満期償還

少人数私募債の償還は基本的には期日に一括償還を行います。
一般的には期日の1ヶ月前には「何月何日に満期が到来します」という通知を送り、満期日になったら一括で元金の振込を行います。
この場合にも「償還を受けていない」というトラブルを防止するために、償還したことを確認する受取確認書を作成したり、社債申込証拠金預り証を返却してもらうなどの手続きを行った方がよいでしょう。

 

まとめ

少人数私募債は、銀行保証付私募債と異なり審査がないため、募集自体は簡単にどのような企業でも行うことができます。
また、募集要項や申込証に記載する内容もそれほど難しいことはなく、簡単に法律の要件を具備した書式を作成することができます。
しかし、少人数私募債は購入してくれる人を探すことが最も難しく、ここさえクリアすることができれば、銀行融資に頼ることなく資金調達を行うことができるようになります。
基本的には会社の親族や知人などを勧誘する方法になりますが、一般投資家などにも勧誘することができます。
どのような方法にせよ、「会社を応援したい」という気持ちになってもらうことが一番です。
未公開株ではないため、私募債は投資家にとっては大儲けするチャンスはないためです。
このため、いかに自社の事業やプロジェクトに魅力を感じてもらうことができるのかというプレゼン能力が非常に重要になります。
まずは、多くの人に賛同してもらえる事業計画の策定から始めてみてはいかがでしょう?

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